代表近詠
登城のやうに
加藤峰子
爽やかや登城のやうに潜る門
つつじ茶屋鶲の憩ふ坐禅石
小流れに秋日のきらを掬ひけり
沼の結界ひとむらの鬼薄
爽籟の運ぶ銅鑼の音枕辺に
職人のコンビニ弁当赤とんぼ
秋の昼仕掛け時計を待つ双子
鰯雲取り壊すてふ石材屋
自画像の画家の眼光ひやひやと
言ふなれば安否確認虫の夜
名誉代表近詠
醍醐味
橋道子
蜆蝶足もと注意と触れ来る
勝ち負けをすぐ言ふをとこ虚栗
露の窓侮りがたき啓蒙書
麻の葉の刺子の布巾水澄めり
榠樝の実美形に過ぐはつまらなし
乗客の黙のかたまり釣瓶落し
醍醐味に酸味いささか杖の秋
当月集より
寒麦集より
羽音抄